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  平成17年の活動報告
 

参議院環境委員会で景観行政について質問

参議院環境委員会で発言する中川雅治
参議院環境委員会で発言する中川雅治
答弁する小池環境大臣
答弁する小池環境大臣
釧路湿原
釧路湿原
熊本県水俣市寒川地区の棚田
熊本県水俣市寒川地区の棚田
兵庫県神戸市
兵庫県神戸市 新長田のアジアギャザリー
京都府京都市 花見小路
京都府京都市 花見小路

(写真提供:環境省、国土交通省)

日本人は美しい自然や伝統ある古くからのすばらしい街並みを大事にしようとする気持ち、さらに言えば新たな良好な景観を創出していこうという気持ちが低かったという気がします。
つまり色々な要請がある場合、政策の優先順位として、美しい自然を守る、景観を大事にするということは、他の政策に比べて、順位が低かったのではないかと思います。
特に高度成長期、さらにはそれに続く経済の効率を優先する時代にはそのような傾向が強かったと思います。
ところが、最近に至って自然の美しい景観や街並みを大事にしていこうという動きが急速にでてきているように思います。
その点で画期的であったのは、平成14年12月に議員立法で成立した「自然再生推進法」と平成16年6月に成立した「景観法」を含む「景観緑三法」です。
自然再生推進法は、過去の公共事業等によって破壊された自然を公共事業として修復、再生しようという画期的なものです。
しかも関係省が連携し、関係地方公共団体だけでなく、地域住民、NPO等の地域の多様な主体が参加する協議会を組織する仕組みを作り、自然再生事業の実施者は協議会での協議結果に基づいて計画を作成していくという手法をとっています。
また、景観法は良好な景観を国民共通の資産として位置づけた初の基本法で、今までの各自治体が独自に規制を設けてきた景観に関する規定に規制などの法的根拠を与える包括的な基本法です。
この景観法では、景観行政団体である都道府県や市区町村が策定した景観計画の景観計画区域においては、建築物等のデザイン・色彩について条例を定めることにより、変更命令も可能となっています。
さらに景観形成の重点エリアとして「景観地区」を市区町村が指定すると、この地区では建築物のデザイン・色彩、高さなどを規制する「認定制度」が導入されます。
この認定制度は市区町村長の認定がなされるまでは工事の着工そのものができなくなるという極めて強い規制です。
このような画期的な景観法ですが、本年6月よりいよいよ全面的に施行されることになります。
そこで、私は環境委員会の場で、自然再生推進法に基づく自然再生事業の進展状況や、景観法に基づく景観計画区域や景観地区を定めることを検討している自治体はどれくらいあるかなどについて環境省、国土交通省に質問しました。
答弁によると非常に熱心な自治体が増えてきている一方で、全国的にみればまだまだ広がりを見せているとは言えない実態が示されました。
特に、自治体が景観法の景観計画区域の指定、さらには極めて強い規制の出来る景観地区の指定に躊躇することがあるとすれば、それは地域の住民の意向との関係だと思います。これらの指定が円滑かつ有効に進むためには、この法律の予定する住民参加が有効に機能することがどうしても必要です。そのためには地域の住民が自分達の街の景観を守っていこう、さらには良好な景観を創出していこうという意識を持つことが前提となります。
景観を守るために各種の規制を受け入れることは事業者にとってコスト増となる場合も当然あるでしょうけれども、そのことによって経済活動が縛られるのではなく、むしろ地域の持っているポテンシャルを引き出すことになり、経済の活性化に繋がることもあると思います。
地域の住民が身近に接する街の景観を良いものにしていくことはむしろ経済の活性化に結びついていくのだという認識を持たなければなりません。
そのためには国は小中学校の頃からいわゆる景観教育を行っていく必要があると思いますし、国民に対する大規模な普及啓発活動もしなければならないと思います。私は委員会の場でこうした点を強く主張しました。
さらに景観行政は、都市の部分は国土交通省、農村地域は農林水産省、重要文化的景観に選定されている部分は文化庁、自然公園の中は環境省という別々の役割分担をしているのでは、国民に日本の美しい景観を愛する心を持ってもらおう、そうした心を育てていこうという視点に立った包括的な行政が出来ないと思います。
私は、国民一人一人がこの美しい日本の景観を誇りとし、国民皆が日本の美しい自然や街並みを守っていこうという気持ちを持つことが出来るよう政府挙げて取り組みを進めなければならないことを強調し、小池環境大臣はじめ政府に強く要請し、理解を得ました。
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