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参議院憲法調査特別委員会で国民投票法案について質問

質問する中川雅治


4月17日、参議院憲法調査特別委員会で「日本国憲法の改正手続に関する法律案」(国民投票法案)の審議が始まりました。
私は同委員会の理事を務めており、トップバッターで質問に立ちました。
国民投票法案が参議院で審議されるまでには長い経緯がありました。憲法が施行されて60年経ち、最近では憲法改正論議が盛り上がってきています。憲法改正は、憲法第96条の規定により、衆議院、参議院各院の3分の2以上の議員の賛成をもって国会が改正案を発議し、国民投票に付してその過半数の賛成を得て実現するものです。しかしながら憲法第96条に定める憲法改正の手続を具体的に定める法律がなかったことは国会の不作為であり、それによってより良き憲法を作っていこうという国民の権利が奪われてきたとも言えますが、ここ数年、国会でこの問題について与野党で真摯な論議が積み重ねられてきたことも事実であります。
与党と民主党との間で国民投票法案に関し、それぞれの案について修正協議が重ねられ、与党と民主党とで共同提案する寸前のところまで行ったのですが、民主党の方針転換により最終合意はならず衆議院において4月13日、民主党の反対のまま与党案が可決されたのであります。
しかしながら、可決された与党案は民主党案とほとんど相違なく、国民投票法案が政争の具となった感は否めません。
ただし、この国民投票法案は議員立法であり、与野党が真摯に論議を重ねてきたことは、正に国会の本来の姿であると思います。
委員会での質疑応答は質問者である参議院議員と発議者である衆議院議員(保岡興治、船田元、葉梨康弘、赤松正雄の4氏)との間で行われました。
私は、まず、与党案と民主党案の最大の違いとされる国民投票の対象について発議者の考えを聞きました。与党案は国民投票の対象を憲法改正に限ることとし、民主党案はこれを重要な国政の問題にも広げることとしています。
発議者から「一般的国民投票制度はその効果が諮問的なものであるとしても、実際は拘束力を持つこととなるので、議会制民主主義の根幹にかかわる重大な問題であり、これは憲法改正事項そのものであると解せざるを得ない」との答弁がありました。
また、この国民投票法案においては、投票権者の年齢要件を18歳以上の日本国民としていますが、3年間の経過期間中に公職選挙法や民法など年齢要件のある関係法令をピックアップして改正の必要性を検討することとなっています。この点についての検討の方向について発議者との間で議論しました。
また、憲法第96条にいう国民投票における「その過半数」の意義については、学説上(1)有権者総数の過半数(2)投票者総数の過半数(3)有効投票総数の過半数と3説ありますが、発議者はどの考え方をとっているのか質問しました。発議者は「投票所に足を運んだ国民の意思をできるだけ酌み取り、可能な限り無効票を少なくする工夫をするという考え方をとった上で、有効投票総数を分母として賛成票がその過半数であったかどうかによって国民投票の結果が決まることとした」との説明がありました。
さらに、国民投票成立の要件として最低投票率の規定を設けることの是非について質しました。発議者からは、「国民投票成立の要件として最低投票率を設けると、(1)ボイコット運動を誘発しかねず、国民投票の結果が国民の意思を正確に反映することにならないこと、(2)憲法第96条が規定する以上の加重要件として最低投票率制度を設けることは憲法上の疑義を生じかねないことから最低投票率制度を設けることは反対である」旨の答弁がありました。
さらに、公務員、教育者の国民投票運動の規制の問題、憲法改正に関する有料の広告放送の規制の問題、憲法改正案を国民投票に付す際設けられる国民投票広報協議会の公平性の確保の問題等について発議者に質問し、議論しました。

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