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参議院本会議場で賛成討論を行う中川雅治 |
平成19年5月14日、参議院本会議で「日本国憲法の改正手続に関する法律」(国民投票法)が可決・成立しました。
憲法改正論議が高まっていますが、憲法改正案は、衆議院、参議院の各議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票に付しその過半数の賛成によって実現するものです。
この国民投票の手続等を定める法律が憲法施行後60年経った今日まで定められていませんでした。
今回、国民投票法が成立したことは画期的なことです。
当初、国民投票法については、自民、公明、民主の三党共同提案の議員立法で成立させる方向で協議が進み、合意寸前までいきましたが、最終局面で民主党は方針転換をし、採決の際は反対しました。しかし、成立した法律の内容は民主党案とほとんど相違がなく、参議院の委員会での審議、採決は粛々と行われ、付帯決議は自民、公明、民主3党の賛成で可決されました。
5月14日、参議院本会議で国民投票法案について私が与党を代表して賛成討論をし、民主党の前川清成議員が反対討論をし、その後採決が行われ、賛成多数で可決、成立しました。
私の賛成討論を以下紹介させていただきます。
私は、自由民主党並びに公明党を代表して、「日本国憲法の改正手続に関する法律案」に対し、賛成の立場から討論を行います。
冒頭、参議院における審議状況について、振り返って参ります。
参議院におきましては、今国会冒頭に、憲法調査特別委員会を設置致しました。
4月16日、参議院本会議場におきまして、本法案の趣旨説明及び質疑が行われ、憲法調査特別委員会においては、翌日の17日から審議がスタート致しました。
委員会の現場では、連休を除き、ほぼ連日質疑を行い、50時間以上の審議時間を積み重ねて参りました。
また、名古屋市、仙台市、福岡市、札幌市、さいたま市、横浜市の6箇所で、地方公聴会を実施するとともに、4日間にわたり、約20人の参考人からの意見聴取・質疑を行うなど、多くの国民の皆様から意見を伺って参ったところであります。
こうした委員会審議を通じて、私自身は、参議院らしい充実した審議を行うことができたと自負しております。
申し上げるまでもなく、憲法改正手続法は、憲法第96条に基づく憲法の附属法典であり、国民主権を実質化するものであります。本来、憲法制定の直後に成立させなければならなかった法律でありますが、憲法施行60周年の節目の年に、ようやく、本日、参議院本会議における採決の日を迎えましたことは、大変感慨深いものがございます。
それでは、以下賛成の理由を申し上げて参ります。
賛成の第一の理由は、国民投票の対象を、憲法改正国民投票に限定し、憲法制定権力の担い手である国民がその権利を行使する制度を整備するものとなっていることであります。
法的拘束力のある憲法改正国民投票そのものと、任意で諮問的効果が想定される一般的国民投票は、性質を異にするものであり、当然のことながら、同じ枠の中で制度設計をすることは不適切であると考えます。
賛成の第二の理由は、投票権者の年齢を18歳以上と定めるとともに、公職選挙法や民法などの関連法令について必要な法制上の措置を講じ、当該措置が講ぜられるまでの間は、20歳以上とする旨の経過措置が定められている点であります。
諸外国においては、選挙権年齢と投票権年齢が一致していることが多いことなどから見ても、こうした経過措置を置いていることは極めて妥当であると考えます。
賛成の第三の理由は、無効票をできるだけ少なくするために、賛否の表現の方式の工夫を図る等の配慮をしているとともに、白票などは無効とし、投票総数に参入せずに、憲法改正国民投票の承認の要件を、有効投票総数の過半数にしている点であります。
賛成の第四の理由は、国民投票運動が原則自由に認められている点であります。
なお、投票の公正さを図るために、公務員・教育者の地位利用による国民投票運動の禁止等、必要最小限度の規制が設けられている点は妥当であると考えます。
賛成の第五の理由は、国民投票の実施に当たっての広報につきましては、中立・公正に十分配慮されている点であります。
参議院におきましては、最低投票率導入の是非が大きな争点となりました。
最低投票率の導入については、「憲法第96条が規定する以上の加重要件を設けることは憲法上も疑義があること」「ボイコット運動を誘発しかねないこと」「諸外国において採用している国が少なく、採用している国であっても、その大部分が憲法上規定されていること」等の理由から、導入すべきでないことを申し上げておきます。
我々も、低い投票率が決して良いと考えているわけではありません。出来るだけ多くの国民の皆様に、投票所に足を運んでいただけるよう、国民の関心を高める努力や、広報の充実等に、十分努めるべきだと考えております。
本法案成立後、憲法審査会が設置されることとなります。
我々は、その中で、国民的合意が得られる憲法改正に向け、精力的に取り組んでいくことを、国民の皆様の前にお誓い申し上げ、私の賛成討論を終わります。 |
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