4月19日、私は伊勢神宮を参拝しました。古くからお伊勢さんと呼ばれ、日本人の心のふるさととして親しまれてきた伊勢神宮ですが、宇治橋の大鳥居をくぐると自然と身が引き締まる思いがします。
天照大神(あまてらすおおみかみ)をまつる内宮御正殿は古代の姿を今に伝える荘厳な雰囲気に包まれています。二拝二拍手一拝を行うと心が改まったようなすがすがしい気持ちとなります。
参拝のあと、神宮司庁の応接室で伊勢神宮の鷹司尚武大宮司と懇談させていただく栄に浴しました。
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宇治橋を渡ると自然に身が引き締まる |
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伊勢神宮にて |
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伊勢神宮の鷹司尚武 大宮司と懇談 |
鷹司大宮司との懇談を終え、次に私は神宮司庁の営林部事業課長の倉田克彦さんの案内で神宮宮域林を視察しました。宮域林の面積は5,442ヘクタールで伊勢市の面積のおよそ4分の1に相当します。
宮域林は約2000年前から天照大神の山として大切にされてきました。約1300年前の持統(じとう)天皇の御代に20年に一度、社殿や御装束神宝のすべてを新しくして、大神様に新宮(にいみや)へお遷(うつ)りいただく式年遷宮が始まりました。宮域林は式年遷宮に必要な御用材を生産する山としても大きな役割を果たしてきました。
車で細い林道をのぼって五十鈴川の源流までたどり着くと、まっすぐなヒノキがさっそうと繁るまさに「聖なる森」と呼ぶにふさわしい森林の中に入ります。
私が案内していただいた宮域林は大正時代に植林されたヒノキの人工林で平成25年の式年遷宮ではこの宮域林の間伐材が使用されることになるとのことです。
御正宮の御扉に使われる御用材は樹齢400年以上のものが必要であり、これらのヒノキは325年前後の2333年の式年遷宮のための御用材として、これからもずっと大切に育て上げていかなくてはなりません。
何百年も先のことを考えて宮域林を管理している方々に頭の下がる思いがしました。
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五十鈴川の源流 |
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ヒノキが立ち並ぶ神宮宮域林 |
午後1時より私は、伊勢神宮内の神宮道場で行われた神社本庁主催の中堅神職研修で3時間にわたって講師を務めました。白衣白袴で受講しておられる神職の方々に、私は「将来世代への思いやり ― 持続可能な社会を目指して」と題する講義をしました。
環境破壊や膨大な財政赤字は将来世代への大きな負担になることを説明し、持続可能な社会を作る必要性を主張しました。
百年先、千年先を思う伊勢神宮での神職の方々との対話は私にとりましても感慨深いものでした。
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中堅神職研修で講義する中川雅治(1) |
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中堅神職研修で講義する中川雅治(2) |
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中堅神職研修で質問を受ける中川雅治 |
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