◆子ども達に手厚い政策 翌日5月15日(日)は朝食後、最初にアリョンカ幼稚園に行きました。 クリル経済発展計画によって昨年12月に完成、開園しました。110名の児童が入っています。この幼稚園は本当に素晴らしくてビックリしました。日本の保育園や幼稚園とは全く違います。2歳から7歳までの修学前児童を、朝の7時半から夕方の6時半まで預かります。この幼稚園の完成で、待機児童はゼロになりました。 遊ぶ部屋、お遊戯などをする部屋、音楽教室、お昼寝用ベッドが並んだ部屋、そして温水プール…壁にはりっぱなタイルがはめ込まれ、プールも室内も一定の温度に保たれるようになっています。メドベージェフ大統領からのプレゼントとして大型テレビと音響装置があり、ここは至れり尽くせりの幼稚園だと思いました。月謝は月に日本円にして6000円程とのことです。島にはあと2つの幼稚園があるそうです。 ロシア政府が島の実効支配をさらに強化していくため、島で生まれた子ども達をここでりっぱに育てるのだという強い意志を感じました。まずは子どもの教育から、ということでしょうか。 後ほど芸術学校も視察しますが、まだ社会資本が充実しているとは言えない島の中で、教育にかける熱意は大変なものだと思いました。
◆現地視察あれこれ 次は取水場の建築現場に行きました。地下水を汲み上げて各家庭に給水をするための施設を作っている現場です。貯水タンクを作り、90〜100メートル位の深さまで掘り、地下水を汲み上げるのです。2014年の完成予定です。 それから、古釜布の埠頭を視察しました。大きな船が停泊出来るよう深い所まで掘る工事を進めています。完成すれば鉄筋、鉄骨、アスファルトなどの資材を運べるようになるでしょう。急速に社会資本や住宅その他の建物の建設が進むはずです。北方領土がますますロシアの手によって開発され、実効支配の実績が積み上げられるだろうと不安が募りました。 その次に、我々一行は国後島の郷土博物館を視察しました。1991年(平成3年)のオープンで、クリル諸島についての著作を多く出版しているフョードル・イワーノビッチ・ピジャノフ氏の提案による郷土博物館です。彼は国後、色丹、歯舞群島を何年もかけて考古学調査を重ねました。ピジャノフ氏が郷土博物館の初代館長です。 現在展示室は6つあり、公開非公開を含めて6242点の資料を収蔵しています。郷土博物館と言っても全く普通の古いアパートのような感じで、展示室には国後島の植物の標本や動物の剥製、岩石の標本、民族資料などが展示されています。建物自体が古く薄暗く、日本の整然とした美しい博物館とは程遠いイメージです。 館長の女性は、「この建物は危ない。もっときちんとした建物に引っ越せるよう政府にお願いしている」と説明しました。 古釜布の日本人墓地にも行きました。日本人墓地はクリル日本センターの方が掃除をしてくれています。墓地内の道も掃いてあり、きちんと管理してありました。日本人の先祖が祀られているお墓をロシアの方も大切にしてくれているのだと解り、大変嬉しかったです。