6月18日に開かれた参議院環境委員会で、東京電力の福島第一原子力発電所の事故により失墜した原子力安全行政に対する信頼を取り戻すため、環境省の外局としていわゆる3条委員会と呼ばれる独立性の高い原子力規制委員会を設置するための法案審議が始まりました。
政府は、すでに環境大臣のもとに原子力規制庁を設置し、原子炉等の安全のための規制を一元化する法案を国会に提出していました。
しかしながら、自民、公明両党は原子力規制庁の独立性が十分でないとし、公正取引委員会のような独立性の高い、いわゆる3条委員会と呼ばれる原子力規制委員会にすべきであると主張し、衆議院の法案審議の段階で、民主、自民、公明の3党による修正協議が行われました。
その結果、政府提案は取り下げられ、衆議院環境委員長の提案による原子力規制委員会設置法案が衆議院で可決され、参議院に送付されました。
本日の環境委員会は、午前中が産廃特措法の審議、午後が原子力規制委員会設置法案の審議となり、私は午前中に引き続いて午後においても質問に立ちました。
福島の原発事故の反省から、原子力の安全規制を担う原子力安全・保安院が原発を推進する役所である資源・エネルギー庁の中にあるという現在の原子力安全規制組織を早く改め国際基準にのっとった独立性の高い組織とすることが求められています。
この点について、私は全く異論はありませんが、原子力安全規制組織を3条委員会とすることについては、私は、「事実上主務大臣がおらず、この組織が極端な方向を向いてしまう危険性はないか」「原発事故が起きた場合、事故が起きた責任はこの3条委員会にあることになり、国民の信頼を失った3条委員会が事故対応の指揮を執ることが果たしてできるのか」といった問題を提案者である衆議院環境委員長や細野環境大臣に質しました。
提案者は「原子力規制委員会の委員は国会同意人事で、委員長は天皇陛下の認証官であること、この委員会には十分な権限、職員数、予算が与えられることになっており、極端な方向に走ってしまう心配はない」という全く意味不明の答弁をしていました。原子力規制委員会をチェックするのは国会しかなく、その責任は重いことを痛感しました。
原子力規制委員会の事務局である原子力規制庁には1000人規模の職員が置かれることになりますが、法案では原子力規制庁の全職員に、原子力推進官庁との間のノーリターンルールを適用することとされています。
ノーリターンルールを余り厳格に適用すると、原子力規制庁に出向することを拒否する人も出るでしょうし、役所は、優秀な人材は残して問題のある職員をノーリターンだからといって送り込んでしまうことになりかねません。
私は、こうした問題点を指摘しました。
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参議院環境委員会で質問する中川雅治 |
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参議院環境委員会の様子 |
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