民主、自民、公明3党の合意によって衆議院を通過した社会保障と税の一体改革関連8法案は参議院で審議が開始されました。私は、新たに設置された参議院の社会保障と税の一体改革に関する特別委員会の委員に任命され、7月18日に開かれた同特別委員会の第1回目の審議で野田総理らに質問いたしました。
同日の特別委員会での審議の様子はNHKテレビで中継されました。
今回の改革案については、
@社会保障と税の一体改革といっても社会保障の将来像が示されておらず、増税先行ではないか
Aデフレ下で増税をすれば日本経済や国民生活に深刻な影響を与え、かえって税収は落ち込むのではないか
B行革や国会議員の定数削減など身を切る改革が先ではないか
等々様々な批判があります。
3党合意についても談合だとか密室での決着だといった声も出ています。
さらに、衆議院での採決に際して民主党内から多くの造反者を出し、その後離党者が続出している状況から、民主党は3党合意を誠実に守ったとは言い難く、自民党の国会議員の中にも3党合意の根底は崩れたと主張する者も出ています。
このような大変厳しい状況の中で始まった参議院特別委員会での審議でありますが、私は、
@我が国の少子高齢化は世界に類を見ないスピードで進んでおり、赤字国債発行という将来世代の負担で増大する社会保障費をまかなうことはもはや許されないこと
A日本国の債務は1000兆円、GDP比で220%に達し、先進諸国で最悪の水準となっており、財政の健全化は待ったなしの状況であること
B日本の国債市場が安定しているのはマーケットが日本には増税余地があると見ているからであり、ここで財政健全化への道筋をつけられないとなると、日本の国債の償還確実性に疑問符が付き、欧州のような債務危機に陥る可能性も懸念されること
等々から、ここで3党合意を無にするわけにはいかないという考えの下で野田総理や安住財務大臣に質問しました。
増税は政治家にとっては本当に辛い決断です。私の経験からも増税の必要性をいくら説いても有権者の皆さまからは「何言っているんだ、我々の生活はどうなってもいいのか」という声が返ってくるのが一般的です。
自民党政権時代を含めて歴代政権は、給付は増大させても負担増は求めることなく、本格的な増税は極力先送りしてきました。
消費税の導入や増税に挑戦した政権は選挙で厳しい審判を受けてきました。
民主党は実現不可能なマニフェストを掲げ総選挙を戦い、政権を取り、すでにマニフェストは破たんしたといってよい状況になっています。このことは絶対に許せるものではありません。
しかしながら、財政健全化を進めていかなければ日本の社会保障制度は維持できない、日本が滅んでしまうという危機意識を持って、困難な消費税増税という問題に向き合っている野田総理の姿勢は評価すべきです。自民党も消費税を10%にするという方針を打ち出しているのですから、政局優先から参議院で3党合意をひっくり返して、日本国を危くするようなことはすべきでないと考えます。
私はこうした視点に立って今後ともこの特別委員会での審議に臨んでまいりたいと決意しております。
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特別委員会で野田総理に質問する中川雅治 |
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中川雅治の質問に答弁する野田総理 |
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特別委員会での審議の様子 (立って質問している人が中川雅治) |
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特別委員会での審議の様子 (立って答弁している人が野田総理) |
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