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活動報告
 

平成20年の活動報告

 
ドイツを訪問(前編)
 

平成20年5月4日から9日まで、私はドイツ連邦共和国の御招待でベルリン、テューリンゲン州のイエナ、エアフルト及びミュンヘンを訪問し、水素ステーション、生物地球化学研究所、太陽電池の製造工場などを視察し、又、エルラー外務省国務大臣、トリッティーン元環境大臣、ホーマン経済技術省次官などの連邦政府の幹部や連邦議会の環境関係議員、さらに経済界や学界の環境関係者等と意見交換をしてきました。日本からは小池百合子元環境大臣、岡田克也民主党副代表、福山哲郎参議院議員(民主)、田村義雄環境事務次官、薬師寺泰蔵内閣府総合科学技術会議議員と私の6人が招待されました。
 一行は5月4日の夕方にベルリンに到着し、翌日の朝、ベルリン近郊の水素ステーションを視察しました。
  この水素ステーションは、産学官による「水素・燃料電池技術イノベーション国家プログラム」の一環である欧州最大の水素実証プロジェクト「クリーンエネルギーパートナーシップ(CEP)」に参加しているTOTAL社が運営しているものです。
  CEPには有名企業11社が参加し、燃料加工、貯蔵技術の開発や次世代自動車の設計・実用化等に取組み、ベルリンで公道試験も行っています。
 CEPプロジェクトは、2002年に開始され、現在第1期(2002〜2008年)が終了に向かっており、第2期、第3期と事業を拡大していく予定であるとのことです。
  CEP広報担当のモエ氏は、「CEPの目的は、政府の支援・参画によって、本来なら競合関係にある企業が共同して技術開発することを可能にすることである。」と語っていました。
  次世代自動車の開発・実用化に関し、我が国もこうした仕組みを取り入れ、世界各国に遅れをとらないようにすべきであると思います。

 
水素スタンド前で説明
ベルリン近郊の水素スタンドにて関係者(左側)から説明を聞く視察団一行(右側)
 
水素スタンド
ベルリン近郊の液体水素タンクの前にて
 

 5月5日の昼はベルリン日独センターで経済・学術関係者とのワーキングランチがありました。
  同センター事務総長のフリデリーケ・ボッセ氏は「私の任務は日独間の対話を続けることだ。対話のテーマは二国間の問題だけでなく、日独にとって同様に関心のあるテーマ、例えば気候変動のような問題も採りあげている。」と述べ、ワーキングランチの司会役を務められました。ワーキングランチのベルリン側の参加者はドイツ学術財団の国際政治安全保障研究所のスザンネ・ドレーゲ氏、ドイツ産業連盟のヨアヒム・ハイン氏、ベルリン自由大学教授のマーティン・イェーニケ氏、ポツダム地球・科学研究センターのアンドレーアス・キュッパース氏ら6名です。
  ドレーゲ氏は排出権取引の将来像を研究しており、エネルギー消費の多い業界の扱いをどうしたらよいか、中国、インドなども参加する全世界的な市場にするにはどうしたらよいかなど本質的な問題について関係者と議論を重ねているとのことです。
  ハイン氏はドイツの産業界を代表する立場から「EUは目標や計画は野心的であるが、そのプロセスが欠けている。EUだけ先行しすぎると、他国がついてこない。」と述べ、EUの進めている排出権取引についても具体的な問題点を指摘していました。
 イェーニケ氏は、徹底した反原発論者で、「地球環境を維持するためには、現在EUが実施している政策以上のことを実施する必要があることは明確だ。原子力発電をやめ、将来的には発電量の50%まで再生可能エネルギーで賄うことも可能だ。」と述べていましたが、具体的な方策は聞くことができませんでした。
  キュッパース氏の属するポツダム地球科学研究センターには850名の研究者が地球科学の研究に従事しており、ここ数年、日本からの研究者も来ているとのことです。キュッパース氏は日本の工業技術院や京都大学などで6年間にわたり研究を続けた経験を有し、地球の生成過程、CO2の貯留技術、地盤の研究などをしているとのことで、興味ある話を聞くことができました。同時にドイツの地球温暖化問題の研究体制が相当進んでいることも知りました。
  ベルリン日独センターでのワーキングランチにおいては、ドイツの経済界、学界の様々な立場、意見を持つ方に参加していただき、環境先進国と言われるドイツでも意見のぶつかり合いの中で苦労して政策を進めている様子が感じ取れ、自民党環境部会長として右往左往している私にとりましても大変参考になりました。

 
日独センターでのワーキングランチ
ベルリン日独センターにおけるワーキングランチの様子
 
ドイツの国際政治安全保障研究所のスザンネ・ドレーゲー博士と
ドイツの国際政治安全保障研究所のスザンネ・ドレーゲ博士と。

 5月5日の午後は、ドイツの外務省を訪問し、ゲルノート・エルラー国務大臣と会談しました。ドイツの外務省においては、外務大臣のもとに、2人の国務大臣がおり、1人の国務大臣は欧州担当、エルラー氏は欧州以外の担当となっているとのことです。エルラー氏は日本の外務副大臣にあたる方ですが、20年以上連邦議会の議員を務めているとのことで、日本の副大臣より実権を持っているように感じました。
  エルラー大臣は、「昨年3月の気候変動・エネルギー問題に特化したEU首脳会議において、拘束力のある目標設定に成功した。温室効果ガスを2020年までに20%削減する、エネルギー効率を2020年までに20%向上させる、再生可能エネルギーのエネルギー全体における割合を2020年までに20%まで引き上げるということを決めた。この数字は決して野心的ではないが、各国の体力を考慮した結果である。」と述べて、日本における数値目標についての議論の様子を教えて欲しいと聞いてきました。
  これに対し、私と岡田克也議員から、それぞれの党内における議論の様子を含めて、日本の状況を説明しました。
  エルラー大臣から、ドイツにおける再生可能エネルギーの導入促進のための法整備の状況とそれによる雇用創出をも含めた効果についての説明がありました。又、建物の断熱改修についての政府の支援策の状況などについても説明があり、日本にとっても大変参考となるものでした。
  エルラー大臣は、地球温暖化対策について、「ポスト京都議定書の枠組みは拘束力がなくてはならず、又、米国の参加は不可欠であるし、新興工業国を巻き込むことも重要である。」と述べ、そのためには、世界全体の取組みを引っ張っていくような模範例が必要であるとし、それを「輝ける灯台」と表現していました。

 
ドイツ外務省のゲルノート・エルラー国務大臣と
ドイツ外務省のゲルノート・エルラー国務大臣と。
ドイツ外務省のヴァルター国務大臣室長と
ドイツ外務省のヴァルター国務大臣室長と。
 
ドイツ外務省のエレベーター
 
ドイツ外務省のエレベーター
 
  (ドアはなく常時動いており、乗客は飛び乗り、飛び降りる。 隣にドアのある通常のエレベーターもあるが、このエレベーターの方が来客に人気があるという。)  
 

 5月5日の夜は、ドイツ連邦議会のエヴァ・ブリング・シュレーター環境・自然保護・原子力安全委員会副委員長主催の夕食会がありました。シュレーター氏のほか数名の環境関係、経済関係の連邦議会議員が参加し、日本側の参加者と熱心な議論をしながらの夕食会となりました。
  シュレーター氏は「我々は現在2020年に温室効果ガスの40%削減を実現するための法案を用意している。」と述べ、日本の温室効果ガス排出量が京都議定書における6%削減ではなく逆に6.2%増加していることに懸念を示し、日本の取組みについて不満を表明していました。我々日本側議員は釈明に追われるような感じとなりました。

 
ドイツ連邦議会のシュレーター環境委員会副委員長主催の夕食会
  ドイツ連邦議会のシュレーター環境委員会副委員長主催の夕食会に参加した ドイツ連邦議会議員の方々と日本側参加者  


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